
眠れないよ
もう朝が来たっていうのに、目を閉じても、耳をふさいでも、眠りにつくことができない。午前4時。遮光カーテンの隙間から差し込む細い光が部屋に橋を架ける。ベッドの側には死神が立ちつくしていて、寂しそうな目で僕を見つめているのでしょう。ベンゾも、デエビゴも摂らない僕は、どうやらこの手の憑き物に好かれています。そして、僕は、ソレを抱きしめたいと心から願うのです。
これまでの人生で死にたいと思ったことは、ほとんどないよ。acidで救急隊に救助される幻覚を見たときも、化学式の分からないカンナビノイドで身体の震えが止まらなくなったときも、いつだって僕は死を避けることで頭がいっぱいだった。バッドのループ中にどれだけ記憶が改ざんされても、それまでの人生でポイントを積み上げていたから少しも崩れやしなかった。だからこそ、僕は生き続けてしまう。生き続けた結果が、この部屋で、この孤独で、この眠れない朝で。皮肉なことに、僕の地獄は幸せで溢れかえっていて、それを寂しいと感じている。どこで僕は許されるのだろうか。今はそれが知りたくて仕方がない。
あの日々は「死」を突きつけてきた。そして、僕はそれをどうにかして遠ざけてきた。そのくせに、未だにアレコレと忙しなく物質を摂取していて、矛盾を抱える自分が憎い。メジコンを箱で食べようが、プレガバリンとCBNで音に溺れようが、トラマドールとプロメタジンで酔おうが、決して僕を壊すことはできないのに。それを知っているのに、見て見ぬふりをしている。
僕は死にたいわけじゃない。「生」を感じたくて、「死」に近づきたいだけなんだ。壊れた断面をそっと確かめたい。そういう好奇心みたいなもの。手を伸ばせば届きそうな距離に、いつもその影があって、この場所がひどく心地良いんだよ。僕はそんな自分が、正直よくわからない。
頭の中がぐるぐる、ぐるぐるしている! きっと今、僕の脳内ではノルアドレナリンが深刻に不足していて、収拾が付かなくなっているはずだ。くるしい。とてもくるしい。こうなると、体内に蓄積されたストラテラに祈るしか術がない! ストラテラは、きっと僕を正しい場所へ導いてくれる。そうどこかで信じている。なんて僕は幸せなんだ!
やがて、ホーム画面の時計が午前5時を示す。指先でそれを確認すると、僕は眠りにつく。刺激の波は次第に引き、部屋の音が遠ざかっていく。
さあ、これから2度目の朝が来る。ベッドの上でどんな顔をしようか。起きたら、また死神に会えますように。