見出し画像

ストラテラが、僕を殺したら

 今の悩みと生育歴を話すと、嘘みたいに明るい女医から「率直にあなたの症状は何だと思う?」と聞かれた。僕は小声で「ADHDですかね……」と答えると、ストラテラの説明が始まった。こんなにあっさり貰えるんだ。完全に拍子抜けした。

 そうしてストラテラを飲み始めて、もう2週間が経つ。頭の中に流れるノイズは小さくなり、落ち着いて丁寧な僕が仕上がった。
 しかし、どうしてだろう。なぜか僕はさみしくて仕方がないんだよ。消えていく多くの欠点とともに、僕自体の成分も弱っている気がする。怖い。本当に怖い。先延ばしも、忘れ物も、忙しない行動も、周りが見えなくなるほどの過集中も減ってきた。ストラテラによって、僕は正しい形に矯正されたんだ。でも、それと引き換えに、壊れた僕にしか出すことができない奇形の光がだんだんと薄れていく。ストラテラが、僕を殺す。

 朝が来るとテーブルの上に置かれたアルミシートから1錠を取り出して、炭酸水で流し込む。僕は毎朝、処刑台に立つ。断頭台に横たわる。明日も、明後日も、飲む予定のストラテラがそこにある。
 取り戻したければ代償を倍に払わねばならないとでも言うように、黙ってこちらを見つめている。

ストラテラが、僕の名前を呼ぶとき
部屋の空気が重くて、息が詰まった。22時、僕は家を飛び出した。たまには付き合ってあげる。僕はhyperactivityだから、こうなるのは仕方がない。
419tenshi.day
見出し画像
ポストする